情報の非対称と、それを埋める負担の偏り
商品やサービスの価値と、それが正しく伝わり、選ばれるかどうかは、別の条件で決まります。その条件を整えるための費用と手間は、情報や資源の少ない側に偏っています。
食品は、その典型です。
私たちは、パッケージの表側を見て選んでいます。中身が書かれているのは、裏側です。
表側には予算と技術が積み上がり、商品の裏側、肝心の原材料においては、大量生産を行う企業の多くでコスト最適化が行われています。マーケティングの肥大化は、この非対称を広げてきました。
消費者は品質を求めています。一方で企業間の競争は、品質から訴求へ移行しました。訴求に投じられる資源は企業規模に比例します。
品質への投資は原価を押し上げますが、その差が購買の時点で検証される仕組みは市場に存在しません。品質よりも原価の最適化が優先され、その結果削られていくのは、成分と品質における消費者への誠実性です。
同じ偏りは、事業の現場にもあります。必要な仕組みを導入し、運用する費用と手間は、規模の小さい事業者ほど相対的に重くなります。その負担は、提供する価値とは別のところで、利用者との接点や日々の運営を左右します。
判断に必要な情報を読み解くこと。必要な仕組みを選び、導入し、運用すること。いまは、その負担を個人や事業者がそれぞれ引き受けています。価値そのものだけでなく、判断や運用に使える資源の差が、個人の選択と事業の可能性を左右しています。この非対称が、私たちの向き合う課題です。